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VO₂系潜熱蓄熱材を活用した人工衛星用温度安定化デバイスのDENDEN-01搭載および軌道上実証成果にについてまとめた論文がAerospace Science and Technology誌に掲載されました

2026年6月30日

研究

DENDEN-01に搭載したVO₂系固-固相転移材料(SSPCM)を用いた人工衛星用電源温度安定化デバイスの軌道上実証成果が、Aerospace Science and Technology 誌に掲載されました。


M.R. Yamagata, Y. Wakita, A. Fujita, K. Miyata, T. Matsumoto, Y. Aoyanagi, First on-orbit demonstration of a VO₂-based solid-solid phase change material for passive temperature stabilization of a satellite battery module: Flight results from the 1U CubeSat DENDEN-01, Aerosp. Sci. Technol. 178 (2026) 113048.


https://doi.org/10.1016/j.ast.2026.113048⁠


=概要=

超小型衛星では、厳しい電力・質量制約により能動的熱制御システムの適用が困難であることから、効果的な熱制御は依然として重要な課題となっている。本研究では、1U CubeSat DENDEN-01のバッテリモジュールに熱制御デバイスとして組み込まれたVO₂系固体–固体相変化材料(solid–solid phase change material: SSPCM)を用い、受動的なバッテリモジュール温度安定化の世界初となる軌道上実証について報告する。

打上げ前には、製作したバッテリモジュールに対して熱真空試験および充放電試験を実施し、繰り返しサイクルにおいて安定した熱特性および電気化学特性を示すことを確認した。その後、衛星は国際宇宙ステーション(ISS)から放出され、高β角条件の高温環境から食を主体とする低温環境まで、多様な熱環境を経験した。本研究では、これらの異なる運用条件下において、SSPCMを用いた温度安定化デバイスの軌道上性能を評価した。

高温条件では、バッテリモジュール温度は相転移温度を十分上回って推移し、他の搭載機器と同様に、SSPCMの顕熱容量に主として支配される温度挙動を示した。一方、低温条件では、通信機器および衛星外板の温度が大きく低下したにもかかわらず、バッテリモジュールは相転移温度近傍で安定した温度を維持した。さらに、昇温過程において明瞭な温度プラトーが観測され、その熱応答が固体–固体相転移に伴う潜熱吸収によって支配されていることが確認された。

以上の結果は、VO₂系SSPCMが実際の低軌道熱環境においてCubeSatバッテリモジュールの温度を効果的に安定化できることを実証するものであり、将来の超小型衛星電源システムに向けた実用的な受動熱制御技術として高い可能性を有することを示している。

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